2008.09.29 Monday
FUNKISTが出来てからパート5
《vol.5 親友》
「おーい!!西郷も一緒に学園祭の準備やろうぜー!!」
「いいよ俺は。そういうのめんどくせーし。」
「なんだよー!!やったら案外楽しいぜ(笑)」
「(遠くから)オガチ先ー輩!!ここ手伝ってくださーい」
「おう!!待ってろ!!俺っちが手伝ってやるっけよ!!じゃあな西郷!!気が向いたらいつでも来いよ」
「ははは…がんばって」
高校時代。同級生だったオガチは活発で学校のみんなから愛される人気者でした
ハードコアバンドのベーシストでありながら生徒会長もこなし、後輩からも慕われる頼れりにされる男でした。
バレンタインになれば紙袋いっぱいにチョコレートを持って歩くオガチをよく見かけたものです。
そんな活発で明るいオガチにひきかえ
僕はと言えば、
【無気力】
を絵に描いたような若者でした
高校時代一番多く発した言葉
「だりぃ」
「めんどくせぇ」
でした(泣)
そんな正反対な性格の僕らでしたが、不思議と馬があい、オガチとはその当時から思った事を素直に言い合える仲でした。
僕は高校時代そんなアンダーグラウンドな性格だった事もあり、音楽をやってる事も、曲を作っている事も誰にも打ち明ける事はありませんでした。
しかしいよいよ卒業が迫ってきた頃、家に泊まりに来ていたオガチに僕は思い切って打ち明けたのです。唐突に…
「俺プロのミュージシャンになろうと思う!!」
オガチは
『キョットーン』
ってしていた…
すかさずたたみかけるように僕はギターを取り出すと
「とりあえず聞いてくれ」
と、当時一番の自信作「そら」を僕は全力で歌いました
「す…すげ…え」
おそらく多分な混乱と少しの感動があいまったのでしょう…
オガチは泣きました
そしてしばらくだまってたオガチがゆっくりしゃべり出しました
「俺、将来とか、夢とかさ、高校卒業してからどうしていいか全然わかんなかったんだ。でも今思った!!俺お前と音楽がしたい」
この一言をきっかけに、高校を卒業してから僕が病気に倒れるまでの1年半
2人の音楽三昧な同居生活が始まったのです
毎日曲も作ったし
ケンカも散々した
お金も無かったから二人ともガリガリにやせてて、オガチにいたっては平成の世の中で栄養失調の太鼓判をお医者さんから押された事もありました。
けして楽な日々ではなかったけれども、音楽と笑顔がいつも溢れた日々でした
〜あれから6年後の春〜
その日のFUNKISTもいつもと変わらないスタジオの始まりでした。ただ一つを覗いて…
オガチの姿がそこには無かったのです
「オガチ遅刻かなぁ?」
そんな話をしながらみんないつも通り準備を進めていると、遅れてオガチがやってきました
「遅刻だぞ!!早く準備しろよ」
「いや…」
「あっ?早くしろよ」
「いや…もう…準備は…しないんだ」
みんなの手が止まりました。
「ど、どうしたの?」
JOTAROが問いかけるとしばらく沈黙が訪れ
「俺…もう音楽やめるんだ」
「えっ!!」
頭が真っ白になりました…
遠くでみんなに説明するオガチの声とJOTAROが怒ってる声が聞こえました
どうやらオガチは音楽の道をあきらめ就職すると説明しているようでした
でも全てが突然過ぎて、現実味なんか全然なくて、耳には入っても頭にはなにも入ってきませんでした。
ただただ、受け入れようの無い現実と15才からのオガチと乗り越えて来た日々が徐々に思い出されていき、気づいたら涙がとめどなく流れていきました
そしてオガチは「ごめん」と一言言い残してスタジオを去っていきました。
みんなの動揺は明らかでした。
10日後にはライブが決まっていたのです。
混乱する中僕は必死で涙を拭い
「止まらないぞ!!なにがあってもライブはする!!止まらない!!みんなで新しいドラマーを見つけよう!!もし見つからなかったら俺がパーカス叩きながら歌えばいいから!!大丈夫だよ!!練習しよう」
とみんなに声をかけ、その日の夜からドラム探しの毎日が始まりました。
幸いその立ち止まれない状況が僕に深く考える余裕を与えず
それがちょうどよかったんだと思います
半ば強制的にFUNKISTは前向きに歩き出しました
結局ギリギリになって手伝ってくれるドラマーが見つかりましたが、全曲は間に合わず、結果ライブ前半2曲は僕がジャンベボーカルで歌い、後半2曲でドラムが入ると言う事でなんとかなりました。
そんなギリギリの綱渡りな毎日の中
宮田から突然話しがあると言われました
「実はさ、テロの時にバークリーから日本に帰ってきたミュージシャンが実はもう一人いるんだ。最高にいかしたプレイヤーなんだけど…FUNKISTに誘ってみない?」
「おっ…おう。そうなんだ。お前がそこまで言うなら。でも、なんの楽器なの?」
「それが…」
「それが?」
「実は…」
「実は?」
「フルートなんだ」
「フ、フルートぉっ!!」
出会いと別れの季節
桜の花びらが舞う中、FUNKISTに一陣の春の風が吹き抜けようとしていた…
《そら》
作詞・作曲/染谷西郷
毎日が毎日過ぎて 僕は一人きり まわりは目まぐるしく動く 僕はなにをすればいい?
そんな時 あの人の言葉が必要かい? 思い出すのかい?
そらへそらへ舞い上がれ全部忘れて
あの日見た夕日がそっとつぶやいた
「おーい!!西郷も一緒に学園祭の準備やろうぜー!!」
「いいよ俺は。そういうのめんどくせーし。」
「なんだよー!!やったら案外楽しいぜ(笑)」
「(遠くから)オガチ先ー輩!!ここ手伝ってくださーい」
「おう!!待ってろ!!俺っちが手伝ってやるっけよ!!じゃあな西郷!!気が向いたらいつでも来いよ」
「ははは…がんばって」
高校時代。同級生だったオガチは活発で学校のみんなから愛される人気者でした
ハードコアバンドのベーシストでありながら生徒会長もこなし、後輩からも慕われる頼れりにされる男でした。
バレンタインになれば紙袋いっぱいにチョコレートを持って歩くオガチをよく見かけたものです。
そんな活発で明るいオガチにひきかえ
僕はと言えば、
【無気力】
を絵に描いたような若者でした
高校時代一番多く発した言葉
「だりぃ」
「めんどくせぇ」
でした(泣)
そんな正反対な性格の僕らでしたが、不思議と馬があい、オガチとはその当時から思った事を素直に言い合える仲でした。
僕は高校時代そんなアンダーグラウンドな性格だった事もあり、音楽をやってる事も、曲を作っている事も誰にも打ち明ける事はありませんでした。
しかしいよいよ卒業が迫ってきた頃、家に泊まりに来ていたオガチに僕は思い切って打ち明けたのです。唐突に…
「俺プロのミュージシャンになろうと思う!!」
オガチは
『キョットーン』
ってしていた…
すかさずたたみかけるように僕はギターを取り出すと
「とりあえず聞いてくれ」
と、当時一番の自信作「そら」を僕は全力で歌いました
「す…すげ…え」
おそらく多分な混乱と少しの感動があいまったのでしょう…
オガチは泣きました
そしてしばらくだまってたオガチがゆっくりしゃべり出しました
「俺、将来とか、夢とかさ、高校卒業してからどうしていいか全然わかんなかったんだ。でも今思った!!俺お前と音楽がしたい」
この一言をきっかけに、高校を卒業してから僕が病気に倒れるまでの1年半
2人の音楽三昧な同居生活が始まったのです
毎日曲も作ったし
ケンカも散々した
お金も無かったから二人ともガリガリにやせてて、オガチにいたっては平成の世の中で栄養失調の太鼓判をお医者さんから押された事もありました。
けして楽な日々ではなかったけれども、音楽と笑顔がいつも溢れた日々でした
〜あれから6年後の春〜
その日のFUNKISTもいつもと変わらないスタジオの始まりでした。ただ一つを覗いて…
オガチの姿がそこには無かったのです
「オガチ遅刻かなぁ?」
そんな話をしながらみんないつも通り準備を進めていると、遅れてオガチがやってきました
「遅刻だぞ!!早く準備しろよ」
「いや…」
「あっ?早くしろよ」
「いや…もう…準備は…しないんだ」
みんなの手が止まりました。
「ど、どうしたの?」
JOTAROが問いかけるとしばらく沈黙が訪れ
「俺…もう音楽やめるんだ」
「えっ!!」
頭が真っ白になりました…
遠くでみんなに説明するオガチの声とJOTAROが怒ってる声が聞こえました
どうやらオガチは音楽の道をあきらめ就職すると説明しているようでした
でも全てが突然過ぎて、現実味なんか全然なくて、耳には入っても頭にはなにも入ってきませんでした。
ただただ、受け入れようの無い現実と15才からのオガチと乗り越えて来た日々が徐々に思い出されていき、気づいたら涙がとめどなく流れていきました
そしてオガチは「ごめん」と一言言い残してスタジオを去っていきました。
みんなの動揺は明らかでした。
10日後にはライブが決まっていたのです。
混乱する中僕は必死で涙を拭い
「止まらないぞ!!なにがあってもライブはする!!止まらない!!みんなで新しいドラマーを見つけよう!!もし見つからなかったら俺がパーカス叩きながら歌えばいいから!!大丈夫だよ!!練習しよう」
とみんなに声をかけ、その日の夜からドラム探しの毎日が始まりました。
幸いその立ち止まれない状況が僕に深く考える余裕を与えず
それがちょうどよかったんだと思います
半ば強制的にFUNKISTは前向きに歩き出しました
結局ギリギリになって手伝ってくれるドラマーが見つかりましたが、全曲は間に合わず、結果ライブ前半2曲は僕がジャンベボーカルで歌い、後半2曲でドラムが入ると言う事でなんとかなりました。
そんなギリギリの綱渡りな毎日の中
宮田から突然話しがあると言われました
「実はさ、テロの時にバークリーから日本に帰ってきたミュージシャンが実はもう一人いるんだ。最高にいかしたプレイヤーなんだけど…FUNKISTに誘ってみない?」
「おっ…おう。そうなんだ。お前がそこまで言うなら。でも、なんの楽器なの?」
「それが…」
「それが?」
「実は…」
「実は?」
「フルートなんだ」
「フ、フルートぉっ!!」
出会いと別れの季節
桜の花びらが舞う中、FUNKISTに一陣の春の風が吹き抜けようとしていた…
《そら》
作詞・作曲/染谷西郷
毎日が毎日過ぎて 僕は一人きり まわりは目まぐるしく動く 僕はなにをすればいい?
そんな時 あの人の言葉が必要かい? 思い出すのかい?
そらへそらへ舞い上がれ全部忘れて
あの日見た夕日がそっとつぶやいた